2011年6月アーカイブ

奇跡の再会

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私は過去の人生において後悔をしたことが余りない。過去の人生を振り返っても思い当たることはそうないが、唯一サラリーマン時代に後悔したことが一度だけある。

忘れもしない8年前の私が26歳のとき、3年間勤めたコンサルティングファームを退職する時の話である。

当時大手ハイテク企業の100人規模のプロジェクトにアサインされていた私には日々鬼のように徹夜しまくる職場が不可解に見えてならなかった。プロジェクトのトップに立つ人間はクライアントの為に土日出勤や徹夜勤務は当たり前の考えで、協力出来ないものには容赦なく、人間扱いすらしない。次のキャリアや目指すべき人生が明確だった私にとってこの職場は私の仕事人生を捧げる思いを到底見出せなかったのは言うまでもない。その頃から同僚とも本音で話すことは出来なくなり、そんな私の転職に対する反応も今思えば冷ややかなものだったと言える。

そんな折に私に心の籠ったメッセージを送ってくれた方が1人だけいた。当時の会社では現場の上司とは別に職務に関係ない上司がつけられるというメンター制度のようなものがあった。最後のフェーズで私のメンターになって頂いた方の1通のメールが今の私の人生にも大きく影響を与えている。

以下当時記述していた私のブログからこのやりとりをご紹介したい。

以下、過去のブログ抜粋 (2004年01月21日記事 当時26歳のときである)
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3年間大企業で働いてきた自分に対して一度リセットを掛けたいと思う。
最近では本業に対するモチベーションが極めて低かった私は一日で
多くの時間を気づかずに惰性的に過ごしてしまうことが結構あった気がする。

やっぱ人生ってやつは(私が言うのもなんだが。笑)楽しくなきゃだし、
毎日が自分にとってサプライズでワクワクする状態にしておく必要があると思う。
その為にはもっと自分にしか出来ないことにリソースを注ぐことに集中し、
そこでお金を作る状況をたくさん生み出していくべきだと思う。
それがまさに私が掲げる次のステージの具体像でもある。

上記背景を元に、私はこの度転職を決意することにした
退職手続きをする為に、本日は会社で最近私の上司になった
シニアマネージャー(日系で言うと部長ぐらいの人)とカウンセリングすることに。

この方は外資系カラー満載のうちの会社には珍しく
大変親身な方で"何故会社を辞めるのか?""新天地では何をするのか?"
といった質問を受けた。
私の会社はもともと外資系のコンサルティング会社だったが昨年IBMが
買収して今ではIBMグループとなっている。しかしながら現場レベルでは
若手の離職率が大変高くなっているらしく、IBM側の幹部は
若いメンバが退職することに動揺しているらしい。その現状を受けて
この方は私のような退職を希望する社員の背景をしっかりと
汲み取って何かしらの打開策につなげたいと言う。
もはや辞めてしまう会社ではあるが、最後にたまたまこのような熱い人と
出会えた為、私の率直な意見をいろいろとぶつけてみた。
すると先ほど協力したことに対するお礼メールが来た。

以下、一部抜粋。

>私自身、コンサル業界に入って10年が経ちます。正直、
>何度も納得いかなくて、実は1回退職(スペインで1.5年休養)1回休職
>(去年まで奥さんと1年SanDiegoで休養)してました。はたからみると
>ふざけたキャリアパスだと思われていますが、自分で考えて納得する
>には時間が必要です。何度もつまづいてますが、それでもいままでの
>自分の決断には後悔してないです。
>足をのばしたままではジャンプできません(足がつるだけです)。
>やっぱジャンプする前には屈まないと。
>森下さんも有給&リフレッシュ休暇をうまくつかって、コンサルで
>ついた心の垢を落として、新天地で大ジャンプできるよう
>がんばってください。
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私をプロのコンサルタントとしてではなく、始めて1人の人間として見て頂けた気がした。今まで生きた心地がしなかった職場に対する反骨心が全て吹き飛び、この方がもう少し早く私の上司だったら私の人生もまた違った形で存在したかもしれないと思えるぐらいのものだったと思う。

約8年前のメールを今でも大切に保管しているぐらい私の人生に大きな影響を与えてくれた出来事であったし、今思えば従業員満足を第一に掲げる我がバズー社の精神はこの方に素地を与えて頂いた気さえする。

しかしながら私の後悔というのはここからである。当時のコンサルタントは常駐が基本で本社やオフィスといったものには殆どなく、上司と言ってもメールだけの関係ということがよくあった。そんな背景や次の職場での怒涛の業務が始まっていたこともあり、結論この方に最後までご挨拶すること無く職場を去ってしまったという事実である。

そんな方とひょんな縁で再会するチャンスを本日頂けた。

私が職場を去った後、同氏はIBM本体に出向し、社長の側近として仕えたらしい。売上1兆円、社員数2万人を超える同社で超が3回ぐらい付く程の異例の出世を果たしたCさんが選んだ道はベンチャー企業へのキャリアステップであった。

その動機というものがかの有名な大社長の姿を見て、自分の未来を感じられず"起業"という人生を選択したらしい。その後の起業、M&A、ファイナンス等、お互い職場を離れてからのキャリアは通ずる部分が多く、再会のランチでは大変話が盛り上がった。

あの時最後にご挨拶に行けなかった事に対する私の後悔が晴れたどころか、素晴らしい再会として再現されたわけである。

コンサル時代の師弟関係よりもさらに近い同じ経営者という立場でこの先輩と付き合えることになった事実に対して少なからず今この瞬間でさえ興奮感を覚えている。

自分の判断を信じ、その道を極める為に全力でアクションを起こす。進むべき道を行けば沢山の素晴らしい出会いがある。この方が私の人生に大きな影響を与えてくれたように私も周りの人間に対して素晴らしい人生となるように可能な限り取り組んでいきたいと思う。

~日本発世界へ 挑戦と冒険に挑むベンチャー企業~
バズー株式会社
代表取締役 森下洋次郎


今日の朝礼の「ちょっといい話」では「営業力」についての話だった。「我が社の強みは何か?」というところに議論が及び、「スピード」とか「コスト」と言った意見が多く出た。確かに日々意識をしている要素ではあるが、ちょっと違和感を覚えた私は直ぐに主力プロデューサーを集めて個別会議をしたわけである。打ち合わせでは伝えきれなかった部分もあるのではと思い、このブログ通じて補足しておきたい。主に社内向けに書いたものではあるが、IT、グローバルをキーワードにする企業の方々にとって少しでも参考になればと思う。

もとい。

本来「スピード」や「コスト」と言った要素は企業の競争優位を支える一つの要素ではあるものの、本質とは言えないと思う。そういったカタチあるモノはいつか必ず打ち破られるものだし、絶対的な強みとして掲げるには極めて脆く崩れやすいものと言える。またそこだけに強みを見出すことはいずれ過当競争によって社員を疲弊させることは目に見えており、そうなってしまうとクライアントの感動はおろか最低限の顧客満足すら得られない状態にすらなってしまう。誰も幸せを掴めないこれら要素を第一に捉える方針はあってはならないと私は考える。

では、我が社の強みは何なのか?何を強みとして取り組むべきなのか?答えは全て「人」にある。優秀なプロデューサーがいる、優秀なエンジニアがいる、優秀なデザイナーがいる。こういった「人財」が我が社のプロダクトであり、人財育成に徹底して取り組むことが我が社の強みにさらに磨きをかけると考えている。バズーのHPで人にフォーカスした記事が多いことは彼等をプロダクトとして捉え、ブランドにしていきたい我が社の方針の表れでもあると言える。クライアントの満足や感動を引き起こすのは優れたデザインや優れたシステム等では決してない。本来はそれを作りだしている彼等自身にあるということを我が社のプロデューサー陣は認識して欲しいと考える。

こういう話をすると周囲からは「人に依存し過ぎではないか?」という声が聞こえてきそうである。誤解を恐れずにお伝えすると「属人的なところにこそ永続的競争優位は存在する」と私は考える。この理由は以下の例え話でお分かりいただけるのではなかろうか。

佐藤可士和さんという方がいる。ユニクロやセブンイレブン等のロゴデザインや楽天のオフィスデザインを手がけている広告業界では天才と言われたアートディレクターである。博報堂から独立し現在SAMURAIという会社に所属する彼であるが、名だたる大手企業が何故信用力のある大手広告代理店では無くSAMURAIに仕事を頼むのか?佐藤さんとの対談を柳井社長、鈴木会長、三木谷社長自らが行っている姿から察するに、「佐藤さんだから」「佐藤さんがいるSAMURAIだから」と言った理由が大きいのではなかろうか。これは彼の類まれなる才能及び彼を支えるマネジメントこそがクライアントとの永続的な関係を築いているいい例と言える。

佐藤さんの例を我が社に置き換えて考えてみよう。

我が社の主事業であるモバイルソリューション事業の本質は、「あるべき理想像に向けてクライアントを導いていくこと」にある。自分の出した提案に対してたとえ担当者が満足してもクライアント企業にとって正しい姿かどうかを問うべき姿勢が大事だし、強いては社会からみて正しい姿かを見極められる広い視野が必要だ。だからプロデューサーたるもの常に理想の絵が描けなければならない、ビジョンを語れなくてはならない、未来に向けてクライアントと共に歩み、最大のパートナーとして存在しなければならない。その究極の姿がクライアントから直接指名され、企業の永続的な競争優位に繋がると私は考える。

我が社では先般のブログでもあるように「一流のプロデューサーを創る会社にすること」を目標として掲げている。この最終ゴールは例えて言うと「モバイル業界のジャニーズ事務所を作ること」である。今の我が社はプロデューサー及びそれを支えるエンジニアのお陰で顧客満足の声を徐々に頂けるようになってきた。しかしこの顧客満足という状態は登山で言うと5合目をさしかかった状態に過ぎないと考えている。最終ゴールはジャニーズがファンに対して常に感動を生み続けるように、我が社のプロデューサー陣がクライアントをあるべき未来像に導き感動のゴールを提供し続けることにある。

今の我が社のプロデューサー陣にはその素地とセンスがあると思う。彼等の個々の才能が束なることでシナジーを生み出し、それが組織の力に、強いては企業の競争優位になるように私も全力投球していきたい。


~日本発世界へ 挑戦と冒険に挑むベンチャー企業~
バズー株式会社
代表取締役 森下洋次郎